ご挨拶
大阪大学 接合科学研究所 所長
藤井 英俊
本研究所は、2022年に創立50周年を迎え、昨年10月24日には50周年記念式典、祝賀会を開催いたしました。ご参列頂いた皆様方、これまで50年間の本研究所の歩みを支えて頂いた皆様方には心より御礼申し上げます。
本研究所は、本学の独立した部局である「溶接工学研究所」として設立された後、「溶接」から「接合」への変革・転換を遂げながら、現在では、溶接・接合分野における我が国唯一、世界屈指の総合研究所として認知されるに至りました。1996年に「接合科学研究所」に改組・改称され、2009年に文部科学省から「接合科学共同利用・共同研究拠点」として認定されています。私自身は、接合科学研究所が発足した、1996年に接合科学研究所に着任いたしましたので、接合科学研究所とともに歩んで参り、接合科学研究所出身の初の所長となります。
本研究所では、「接合プロセス」、「接合機構」、「接合評価」の3研究部門が「溶接・接合」の圧倒的な強みとなってその基盤研究を行い、昨年4月に設置された、「多次元造形研究センター」が接合科学の未来を探る役割を担うことにより、3研究部門とセンターが個々の専門性を発揮しつつ相互が有機的に連繋し、溶接・接合技術のイノベーション創出を通して、人類社会に貢献することを目指しています。接合科学共同利用・共同研究拠点として、国内の国公私立大学などから毎年200名以上の共同研究員を受け入れるとともに、国際共同研究員制度により多くの外国人研究者を受け入れ、活発な国際共同研究を推進しています。他方、人材育成の観点では、協力講座として、毎年、本学工学研究科から100名に及ぶ大学院生と学部生を受け入れ、世界トップレベルの研究活動を通じた高等教育を行っています。
さらに、2021年度よりスタートした「国際・産学連携インヴァースイノベーション材料創出プロジェクト-DEJI2MAプロジェクト-」事業は、多様な社会的要望や地球規模課題を「コア出島」で課題設計し、6大学6研究所の専門性の垣根を越えた「マルチ出島」を通じて人と知の好循環により課題解決を図ることでイノベーション創出を加速し、社会実装を迅速化するものです。民間企業との共同研究を活発に推進するとともに、現在、本研究所では3つの協働研究所と2つの共同研究部門を設置し、溶接・接合に関わる産学共創の拠点にもなっています。加えて、2023年4月より、専任教授が室長として常駐するニューノーマルものづくりコンソーシアム室を設置し、これらの協働研究所、共同研究部門を有機的に連携させ、産産学の体制で研究開発を進めることになっています。
接合科学研究所は、本年、次の50年に向けて歩み始めました。21世紀の人類社会のニーズに応え、22世紀に輝くグローバル社会を夢見て、溶接・接合分野の世界研究拠点として健全で豊かな人類の繁栄と発展に資するべく、所員一同努力していく所存であります。
皆様のご支援・ご鞭撻を賜りますよう宜しくお願い申し上げます。